シャトー ラグランジュ

2022年03月31日 16:47

シャトー・ラグランジュ

Chateau Lagrange


2022年4月「着席型&シャンパン」のワインリストにあげられた赤ワイン。
皆さまに大変好評でした。


シャトー・ラグランジュは、ボルドー地方のサン・ジュリアン地区にある、メドック格付け3級に認定されているシャトーです。サントリーが所有していることで日本でも知られています。自然との共生やテロワールの持ち味を生かすことをコンセプトとする、優雅でエレガントなスタイルが特徴のワインです。

シャトー・ラグランジュの歴史

ラグランジュの歴史は17世紀ごろから始まり、王室砲兵隊長であったジャン・ド・ヴィヴィアンが所有していたと記録に残っています。「ラグランジュ」は「自立した小さな集落」という意味であり、中世時代からワインの銘醸畑として有名でした。

19世紀には、当時のルイ・フィリップ朝において内務大臣などを務めたデュシャテル伯爵がラグランジュのオーナーになりました。伯爵の力により、当時では最先端の醸造設備が整えられ、生産量も大きく拡大しました。畑の中に素焼きの土管を埋め、水はけをよくする技術もデュシャテル伯爵が考案したと伝えられています。このような政治的なバックアップも助けとなり、1855年のメドック格付けで3級に認定されることとなったのです。

しかし、20世紀前半からラグランジュの栄光に影が落ち始めます。1925年に所有を始めたセンドーヤ家が、世界大恐慌や戦争によって没落してしまいました。畑は切り売りされ、醸造設備の状態も悪くなり、ワインの品質は大幅に低下しました。3級とは名ばかりという厳しい評価を受ける時代がしばらくの間続きます。

1983年から、日本のサントリーが所有

この流れを変えたのが、日本のサントリーです。1983年にラグランジュを取得すると、シャトー・マルゴーの再生にも尽力していたエミール・ペイノー博士に協力を要請。ペイノー氏の門下生であるマルセル・デュカス氏が社長となり、畑・醸造所などすべてを一新する改革を行います。その結果、ラグランジュは息を吹き返し、再び世界に評価されるワインへと生まれ変わりました。

シャトー・ラグランジュのワイン造りの特徴

ラグランジュの畑は118ヘクタールと、グラン・クリュの中で最大規模の作付け面積です。畑が広い分、ブドウが熟すタイミングが異なるため、区画ごとにブドウを細かく管理する手法を徹底しています。醸造タンクも小型タイプを2008年から導入しました。

また、2009年からは光センサーでの選果をスタートし、ブドウにストレスを与えずに選果を行っています。人の目視よりも厳密な判定が可能となり、ほんのわずかに残った茎や不適合な果実を厳格に取り除くことが可能となりました。

さらに、農薬・化学肥料をできる限り使用しない、「リュット・レゾネ」農法の実践に踏み切りました。2005年には「自然環境に配慮した栽培」を行っているとして、フランスの専門団体の認証を取得します。ブドウの樹の間に草を植え、ブドウの樹への水分を自然な形で適切に調整できるようになりました。今では自然と調和したワイン造りを行うグラン・ヴァンとしても有名です。

シャトー・ラグランジュは品質が比較的安定していることも魅力

前述したように、ラグランジュは非常に厳しい基準で選果を行っているのが特徴です。そのため粒ぞろいのブドウのみでワインが作られるため、品質が非常に安定しているのが特徴です。

一部のシャトーやドメーヌでは、最上級のワインでもヴィンテージによって出来・不出来がはっきり分かれてしまうことがあります。しかし、ラグランジュは科学的なアプローチも駆使しながら品質向上と安定化に取り組んでいるため、どのヴィンテージでもほぼ問題なくボルドー格付けワインとしての高い品質を楽しめます。

ラグランジュが目標とするのは、果実の豊かな風味があり、エレガントで味わい深いワインです。今の高い評価よりもさらに上のレベルを目指すべく、品質を追求し続けているシャトーであり、今後も大きな成長が期待できます。

ラグランジュのワインは洗練された優雅な印象

ラグランジュのワインはタンニン分が細やかでワインに見事に溶け込んでいます。タンニンをシルキーと高く評価する愛好者も多く、滑らかな口当たりの繊細さがありながら、ボルドーワインとしてのしっかりした味わいを両立させていることが人気を集める大きな理由です。

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